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農業用アシストカートで地域農業の未来を考える

    農業用アシストカートで地域農業の未来を考える
  • 農業用アシストカートで地域農業の未来を考える

私たちが学ぶ旭川農業高校は、北海道の米どころ上川地域にあります。また、大豆やジャガイモの生産も盛んで、教科「作物」では栽培について学んでいます。 

研究テーマを選定するにあたり、地域の農家にアンケートを実施したところ8割の農家で栽培面積が増加し作業負担が大きいこと、機材の単価上昇で新たな技術や機械の導入が難しいことを経営上の課題にしていることがわかりました。

 

そこで私たちは、これまでにも水稲の除草作業が軽減できるRCボート除草剤散布機を製作し地元の水田農家に紹介していました。地元はもとより全国各地で利用していただくことが出来ました。

 

 

一方で、RCボートは使用期間が短いことや活用できる作目が限られているという課題が上げられました。

 

これらの課題をふまえ、レゴブロックを用いて農業機械の自動化について学び、講師の吉原さんより「畑地走行型の機械であれば自動化も可能ではないか。」と提案いただきました。そこで、生産者の方の役に立つ運搬補助を目的としたアシストカートを安価に開発できれば、様々な作目で持続的に活用できるのではないかと考え「農業用アシストカートで地域農業の未来を考える」を目標にしました。

 

目標達成へ向けた計画として、下記のように設定しました。

目次

1)開発:自作農業機械の開発

課題解決の糸口

農業用アシストカートで地域農業の未来を考える
農業用アシストカートの開発にあたり実現可能な製作方法を検討しました。班員からは「全てを製作するには技術が足りない。」「開発にはお金がかるのではないか。」と厳しい意見が多くでました。そこで、メンターの吉原さんに相談すると「全てを開発するのは難しいが既存の機械で応用出来るのではないか。」と助言をいただきました。助言をもとに再検討していたところ、班員の家に使われなくなった高齢者用カートがある事がわかりました。この機械を活用すれば、製作費を抑えるだけでなく、走行機能を生かした開発が可能ではないかと考え目標設定しました。

目標の具現化・学びの活用

農業用アシストカートで地域農業の未来を考える
製作では端材のアングルやフラット板などを活用しながら全体のコスト削減を図りました。荷台のフレームは軽量化のためアングルを使用しミニコンテナを横に2つ並べられる大きさに設計。農業機械で学んだ半自動溶接の技術を生かし製作しました。ステアリングの旋回幅も広げ走行時の利便性の向上も図りました。

2)発展:自動化への挑戦

課題の整理

農業用アシストカートで地域農業の未来を考える
アシストカートの自動化を目指しました。まずは、どんな機能を取りつけるか、吉原さんの「普段の実体験をもとにあったら便利な機能を出し合おう。」と言う提案をもとに検討しました。結果として、作業中は両手がふさがっている事や、離れた場所にいる事があるため、簡単に操作できる機能が欲しいと言う意見からリモコンがあると便利ではないかとまとまりました。また、作業中に荷台の場所を何度も移動させるのが不便で作業効率が悪いという意見から自動追尾機能を取り付けることにしました。

自動化への挑戦

農業用アシストカートで地域農業の未来を考える
決定した機能を実現するため、レゴブロックでプログラムモデルを作成し、超音波センサーを使用し障害物に対して一定の距離で追尾する機能を実装しました。そして、スイッチ機能を使い、リモコン操作をイメージしました。このモデルを実現するため、カートに超音波センサーを取り付け、電源を小型パソコンと同期し操作命令系統の仕組みを製作しました。 また、これまで学んだレゴ用のプログラムからソースコードへの変換を学びました。超音波センサーの感知範囲を確認しながら停止距離を50cmに決定して走行プログラムを作成、小型パソコンラズベリーパイに書き込み安全に走行できるか試験を重ね実用化に向けて改善を進めました。 この結果に講師の吉原さんは「農家の目線に立ったすばらしい機能。」と評価をいただき、更なる開発に向け連携を継続することになりました。

3)創造 地域ビジネスの展開

自己評価と分析

農業用アシストカートで地域農業の未来を考える
農業用アシストカートで地域農業の未来を考える
開発したアシストカートの実社会での実現性とビジネスとしての再現性を検証することにしました。まずは、班員の農場で実証試験を行い作業性や耐久性に問題ないかについて意見をいただきました。「作業面では重たい荷物でもアシストにより簡単に運べて便利だ。」と言う評価をいただくことができました。  そして再現性の確認のため経費の算出を行いました。プロトタイプの製作費は以下の通りです。中古品や端材を利用したことで2万円と安価に製作できました。しかし、市販化に向けては、さらに部品や製作方法などに改善が必要で15万円程度が必要なことがわかりました。  様々な困難を乗り越え高校生発の農業用アシストカートのプロトタイプを完成させることができました。こちらが私たちの製作した農業用アシストカートです。高齢農業者でも楽に荷物を乗せられるように車体を低くし、100kgの荷物でもモーターのアシストで簡単に運搬が可能です。旋回部も工夫し、様々な状況に対応できるようにしました。

地域農業の活性化と、低コストスマート農業による作業負担の軽減

農業用アシストカートで地域農業の未来を考える
私たちの活動が北海道だけでなく、日本の中山間地や高齢農業者のような大規模化が難しい農業従事者に向けたスマート農業のビジネスとして提案できないかプランをまとめ、日本政策金融公庫が行う高校生ビジネスプラングランプリに応募し評価してもらいました。結果として、全国3,800の応募の中から、道北初のベスト10に選出され、東京大学で私たちの活動を発表することができました。審査員の方からは、「農業高校の授業とも結びつく実現性の高いプラン。」「農業が取り巻く状況をうまく把握しており発想が素晴らしい」。と、高い評価をいただきました。また、これをきっかけに様々な方に注目、評価をいただき、普及活動にもつながりました。 これまでに農場試験を行った野村さんからは「デザイン性・耐久性がまだまだ。」と言う厳しい評価をいただきましたが、継続的に活動し改善を進めて、多くの農家に導入してもらう事で地域農業の活性化と、低コストスマート農業による作業負担の軽減を実現したいです。

発展する農業の未来のために

農業用アシストカートで地域農業の未来を考える
私たちは将来、地域の農業を支える後継者です。今後も、私たち自身が正しい知識と活用法を学び、発展する農業の未来のために活動を続けます。
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